訪ねて知る、店主の願い

長いこと化粧品業界で百貨店に関わり、都心のスイーツフロアの洋菓子:和菓子の比率が、どこも8:2ぐらいのことが気になっていた。

和菓子に興味の無い、ダイエット中だった当時の同僚は「上生菓子って、いつ食べるのか解らない高級な手土産よね。」と言い、パサっとして味はイマイチ、インスタ映えのグルテンフリー洋菓子1個に、1200円も払っていた。

インスタ映えなら上生菓子だって、負けていない。何よりカロリーが気になるなら、和菓子の方がよっぽどヘルシーで美味しく、しかもリーズナブルだ。

都内の和菓子屋さん探訪を始めて、半年ちょっと。
情熱大陸で知り、自店のブランドブックを出版している、東京 茗荷谷・一幸庵の店主のインタビュー記事を読み、気になっていた。

「洋菓子が日常で、和菓子が非日常です。それをどこかで食い止めたい。今、どうやって洋菓子を呑み込めるか、と大胆に考えています。日本でもガラパゴス化してしまっている和菓子を世界に見せることも必要」(引用:GREEN MAGAZINE T-SITE)


初めて訪れた茗荷谷のお店。
店内には店主の世界観を感じるスペース、薄い竹に筆文字の英語で書かれた新作の説明のディスプレイが。

洋菓子のパテシエが行うブランディング同様、和菓子の職人ブランディング。

この視点は、今まで訪れたお店には無かったように思う。


無口な日本の職人像だが、伝えることに熱心な一幸庵。
賞味期限を伝えるこの短い文章に、繊細な上生菓子を作り出す、店主である職人の愛情が十分伝わってくる。

旬の栗蒸し羊羹には、栗にまつわるあれこれ、栗菓子の由来など、筆文字が綴る紙が付いていた。
店主から頂くこの手紙から「洋菓子が日常・和菓子が非日常を食い止めたい」という想いも伝わってくる。


百貨店展開する化粧品ブランドは、プロモーションで季節にあった商品を提案し、初めて来店したお客様は個人情報を頂きつつ、一週間以内にサンキューレターを投函、ブランドの魅力を伝えながら再来店を促し、顧客化していく。

個人情報を取らない和菓子屋さんの顧客化策として、この丁寧な職人とのコミュニケーションは「美味しい和菓子」を超える感動があり、顧客との結びつきを作りブランドのファンを作る最強の策。

手間暇、コストのかかるBtoCブランディングに真摯に取り組む一幸庵に、私はすっかり魅了されてしまった。

次の旬では、何を教えてくれるのだろう?
訪れる楽しみ、観る楽しみ、味わう楽しみ。

和菓子職人の腕×技×ブランド戦略が近い将来、洋菓子:和菓子の需要比率を変えると期待して
一幸庵さんの栗蒸し羊羹、美味しく頂きました。

赤坂美附 storeinfo

和菓子好きが嵩じて 『和菓子ソムリエ』の称号を頂きました マーケティングプランナーの 赤坂美附です。 【ブログ】 和菓子とお店の歴史探訪 『お菓子飛行』書いてます。

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